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「私も、ドレイクを忘れた日なんて一日もない。私はドレイクを責める資格なんて無いよ。救いたい人を護れなかった十字架は、私もあなたも同じ……でも淋しかった
もう無茶しないであなたがあなたらしく居てくれたら私は傍に居るから。ずっと待ってた――……
また あなたに逢えるのを。
……おかえり。ドレイク。」
カレンの脳裏に映るのは護れなかった大好きな母親と尊敬していた父親、生き別れになった最愛の妹ルビア、優しい弟のような存在だったバレット、頼れる義理父のような存在だった料理長、自分が生き残る為に殺めてきた奴.隷達。
護れなかった人達を想う度に
カレンを締め付ける十字架の呪縛
幸せを掴もうと前へ進もうとしても護れなかった者達への十字架にカレンは堅い鎖で繋がれている。
弱さを認め、互いに強く生きようと手を差し伸べてくれたドレイク
カレンは気付けば泣いていた。
今日の自分は変だ。
笑って、怒って、泣いて、
また怒って泣いている……。
じゃあ次は、笑えるのかな。
カレンは一歩前へ歩くと溢れ出た涙が潤む瞳で手を差し伸べて前で待つドレイクを見つめる。カレンはゆっくり白い手を前に伸ばすとドレイクの暖かい右手を掴んだ。
ドレイクはカレンの白い手を掴むと自分の前へと引き寄せた、勢いで最も近付くカレンとドレイクの――――ふたりの顔。
カレンは驚き紫色の瞳を逸らす。
でも引き寄せられた身体は動けない、ドレイクはカレンの白い手を離すとカレンの頬を両手で掴んで涙に濡れた紫色の瞳を見つめる。
満点の夜空の下、街灯の明かりに照らされながら向かい合う二人。
「あぁ……ただいま、カレン」
ドレイクは瞳を閉じて立つカレンの柔らかな唇に口付けを交わした
それは深く永年離れていたお互いを確かめ合うかのように……。
十四年ぶりに再会を果たした
カレンとドレイク
今日のこの夜が――……
――ふたりの新たな始まり。
つづく
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