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仮面を外した姿を見て
カレンは思わず息を飲んだ。
「アベル…………」
カレンの視線の先には少し長めの蒼髪にサファイアを思わせる蒼い瞳、整った眉毛に美男子と言える骨格を備えた男が一人黒付く目のフードと白い仮面を外して立つ。
その男をカレンは知っていた。
宿敵とはこの事か……。
カレンの前に居るその男こそ、
初代皇帝の息子として二代政権を潰そうと企む初代支持者の若頭、
アベル=D=ドラバルト
「久しいじゃねーか。
こうして会うのはお前がまだ初代皇帝の補佐だった時以来か。
氷河流のカレン、その腕に惚れてくれた父上を裏切るとはこの俺が黙ってるとでも思ったか?
この帝国は奴.隷戦記によって拾った人間を育て上げその成果から上官の生活は裕福で一生遊んで暮らせる年収だ、だが国民は片手で砂を握る生活で格差が広がった。
お前のした善意で救われた者も居る、確かに英雄かもしれねぇ。
ただ政府を潰すと言う事は懸命に初代に尽くしてきた者の存在を無き者にしたのも同然、国民のお前に対する光が強くなる程にその影は濃くなる。……忠告はした、罪の無い国民に被害を加えたくなかったら、潔く二代皇帝の座を失脚する事だ」
アベルの語る初代支持者側の主張、そして失脚を促す蒼い瞳。
カレンは右手に握っていた氷河楼宴刀を左腰の白い鞘に納める。
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