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「命を想うその気持ちに応えた奴が居る……。救われた命、護れるもんなら護り抜いてみろ」
カレンの意志に言葉を返すアベルその意味深とも思えた短い言葉にカレンは言葉を投げ掛ける。
「私の怪我を治したのはあなたね」
「お頭っ! どういう事ですか!
敵に情けなど無用ですよ!
この女から皇帝様の仇を討つのが
お頭の望みではないのですか!」
カレンとの刀の打ち合いに敗れて二人の会話を耳にしていた黒付く目の男がアベルに言い寄る。
アベルは透かさず言い返す。
「あぁ、そうさ。
お前を治療をしたのは俺だ。
カレン=J=ローレンツは
初代の仇、ただで楽にさせては俺の気が済まないからな。
たった一度しか使えない治療魔法でお前の怪我を治したのさ」
「流石お頭、狙った獲物は逃がさないって訳ですね」
「助けてくれた事にはお礼を言います。ありがとうございます。
あなたの理由がどうであれ、
私はこうして生きてますから」
カレンにはアベルが一瞬だけ優しげな顔に見えた。憎めない相手、その理由を知るのはもう少し後の事だった……。
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