§*+。第1話。+*§

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再会は敵同士、しかし二人に敵意はなかった。それを感じ取った初代皇帝はカレンを人質に取り婚約者である王子と戦った。王子は強いだがそれ以上に初代皇帝も敗けをとっていない。やがて倒れたのは王子、カレンを守りたい一心で戦ったが破れた。 またしても目の前で大切な人が居なくなった。初代皇帝は倒れる王子の背中に足で踏みつけ、王子の所持していた刀で止めを刺そうとしていた。カレンは目を見開く。 王子の所持していた刀こそカレンの父親の形見の刀『氷河楼宴刀(ひょうがろうえんとう)』であり、父親の形見で大好きな人が斬られる、大好きな母親も最愛の妹も引き裂かれ、かつての自分のように今も奴.隷達は血の涙を流している……。そんな憎悪と哀しみのカレンを動かしたのは初代皇帝の一言、初代皇帝がカレンの父親を"この手で殺した"と言う事実。 その言葉を聞き、カレンの中で何かが切れた。気付けば王子の刀、父親の形見である刀を右手に強く握り締め、初代皇帝と互いの白銀の刃を合わせていた。奴.隷時代のように血で血を洗う死闘、幾度も刀を掴み本気で立ち向かった。 死闘の末、桃髪の少女は刀を片手に凛々しくその場に立っていた。 静かに崩れ落ちたのは初代皇帝、カレンは父親の形見であり王子が自分を必死に守ろうとしてくれた刀で愛する二人の仇を果たした。 カレンの瞳に光は無かった。ただ 絶望の中で握り締めた刀だけが 射し込む光に煌めいていた……。
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