§*+。第1話。+*§

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父親も母親も妹も、恋人も失い絶望の中で勝ち抜いた勝利、カレンは力尽きその場に倒れたが奇跡的に一命をとりとめていた。 瞼を開くと、真っ先に目に入った婚約者であった王子の亡骸。 そうだ……自分は意識を失う前に王子を見つめていたんだ。 後から沸き上がる現実。 城の外は既に静かだ、もう戦いは終わったんだ。 ゆっくりと身体を起こしてみるとふと気付いた身体の怪我の様子、 致命的と思われた切り傷の出血や打ち身の打撲傷が綺麗に治癒されており、カレンの隣には亡き父の形見である氷河楼宴刀が大事に鞘に収められて置いてあり、カレンが手に取って確かめてみると刀に着いていた血潮が拭かれていた。 それは誰かがここに居たと言う証 誰かが助けてくれたのだろうか。 カレンはゆっくりと立ち上がると近くに倒れている初代皇帝の亡骸の傍には牢屋の鍵束が置いてあった。不自然に置かれた鍵束は誰がそうしたのか……カレンは鍵束を拾い上げると城の地下にある牢獄へと向かい奴.隷達に終戦を告げると解放させた。自由を手にした者達は抱き締め合って涙を流し、カレンもまた実感の無い勝利に胸を熱くさせていた。英雄なんかじゃない、この自由は同志であった奴.隷達を殺.してきた償いとしての――彼女の重い十字架。 帝国を救ったカレンは元奴.隷達からの恩恵と帝国民の指示を多く受け、若く第二代帝国皇帝として王座に君臨することになる。 皇帝となりカレンは 奴.隷や偏見で人を縛らない 自由と生き甲斐を持った人々の 強い国をつくりたいと掲げた。 どこかで生きている たった一人の家族である 妹のルビアを想いながらカレンは もう苦しい国にはしないと誓う。
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