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(失礼するよ。修哉君)
(あ、教授。どうしました?)
(今回、君が執刀する患者だが・・・)
と再生されると
「ん?この声は秋川君と教授の声だな」
と理事長が言った。修哉は
「これは昨日の私と教授の会話を録音したものです。まあ、焦らずに続きを」
と言うと再び再生ボタンを押した。
(患者さんて、昨日心筋梗塞で運ばれた人ですよね?その人がどうかしましたか?)
(うむ、その患者を事故に見せかけて死亡させろ)
(何故ですか!?今回の患者は俺の腕と佐藤先生の投薬があれば助かる患者ですよ!?)
(あの患者は金を持ってない。金のない人を助けても意味がない。分かれば準備をしろ)
「ここで、録音は終わりです。」と修哉が言うと、理事長が
「つまり、君はこの命令に背いて手術を行い、命を救ったと言うことだな?」
と聞いた。
「そうです。こんな命令は俺の流儀に反するから従わず自分で行動したんです。」
と修哉は凛として答えた。
「そうなれば、君はむしろ褒められるべきだな。こんな場にいる必要はない。」
と理事長が言うと
「お分かりいただけた様で嬉しい限りです。では、私は患者が待っていますのでこれで失礼します。」
と修哉は言い、お辞儀をした。
「うむ、無駄な時間を使わせて悪かったな。君は下がっていいぞ。さて、教授、君には聞くことが山ほどある。ここに残りなさい」
と先ほどまで修哉に向けていた厳しい視線を教授に向けた。その光景を見た修哉は颯爽と白衣を翻して会議室を出た。
その後、会議室から理事長のとてつもない怒号が聞こえたのは言うまでもない。
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