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朝倉の決意を聞いた修哉は
「そこまで背負うことはない。俺もここを引っ張ってきたつもりはないし頼まれてもそのつもりはない。朝倉には朝倉のやりたいようにここで腕を磨け。」
と朝倉の肩を叩きながら言った後
「まあ、その覚悟ならばこれを渡してもいいだろ」
と先ほど出したノートを朝倉に渡した。
「このノートは?」
と聞くと修哉は
「俺が今まで執刀してきたオペの記録だ。」
と言った。
朝倉はノートをめくりながら
「すごい、移植だけでもこんなに術式を。移植でなくともバチスタ、ロス術の難易度の高い術式の内容が事細かに書かれている。バチスタなんて教本ではあまり触れませんでしたよ」
とやや興奮しながら言った。
「バチスタは心臓の切除した箇所を心筋で塞ぐためにいろいろと不具合が起きやすいからなあ。しかも、そこに書いてあるバチスタは俺が独自に編み出したオーバーラッピング法という変性箇所を2重に重ねて心臓の大きさを変える新バチスタだ。教本になんか乗らんぞ」
と修哉が得意げに言った。
「そんな貴重なものをもらって良いんですか!?」
と朝倉が言うと
「辞める俺が持ってても意味ないしな。少しでも役に立ててくれれば幸いだ。」
と修哉が言った。
「ありがとうございます!」
と朝倉が言いながらお辞儀をすると
「だが、このノートだけが全てじゃない。俺の全てを残りの2週間で叩き込む。ついてくる覚悟はあるか?」
と修哉が言って朝倉に手を差し伸べた。
朝倉はその手をしっかりと握り
「もちろんです!神の手の全てを吸収してみせます」
と言った。
「ならば、明日から始める。逃げるなよ」
と修哉が意地悪な表情を浮かべながら握手を交わしていた。
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