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「今日の患者、成功に見せかけて死亡させろ」
と教授からとんでもない注文を突き付けられた。
今日、俺が執刀する予定の患者は心筋梗塞で運ばれてきた患者で決して俺の腕と瑞穂の投薬指示があれば失敗しない患者だった。
「何故ですか!?失敗する確率は極めて低いんですよ!?」
と俺が食らいつくと教授は冷めた目で
「その患者の家族は金を持っていない。金を持っていない患者を助けても利益はない。分かったら準備しろ」とだけ言い放ち俺の前から立ち去った。
「畜生!結局は金なのかよ!命よりも金かよ!そんな命令に
俺は・・・!!!」
と言いながら準備室の壁を殴っていると瑞穂が後ろから
「修哉!しっかりしなさい!あなたがそんなでは助かる命も助からないのよ!」
と叫んだ。
修哉は
「でも、上の命令は・・・。」
とだけ言うと瑞穂が近づき平手打ちをかました。
「上の命令が何よ!あなたにはプライドが無いの!?こんな命令突き付けられて悔しくないの!?」
「!!!」
「命令違反は確かに重罪よ。でも、それに従って救える命を救わずに後悔するよりはマシよ!!。今は、目の前にある命を助けましょう。」
と言うと修哉を優しく抱きしめた。
「瑞穂・・・。分かった。命令違反だろうがやってやるさ。」
と修哉は瑞穂の言葉で目が覚めたようだった。
決心が固まった修哉を見た瑞穂は
「それでこそ私が見込んだ男よ。投薬は済ませてあるから後は修哉の出番よ。最高のオペをしなさい!」
と修哉の背中を叩いた。
「ああ!俺に執刀依頼させた教授に一泡吹かせてやるぜ」
と言い、瑞穂と固い握手を交わして手術室に向かっていった。
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