休息

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ーーーーーーーーーーーー  藍染優菜にとって朝薙纒とはただの幼馴染みだ。  いつから一緒にいたのかというと小学生の頃だったと思う。小学生の中ぐらいには纒はいつも隣にいた。  帰る時も、遊ぶ時もほぼ一緒。纒がいつも一緒にいて、私が纒の隣にいた。  けれど、私はマトに恋愛感情はない。  マトは中学に入ってから幾度となく私に告白してきたけど、全て断った。  マトのことは好きだ。馬鹿正直で、純粋で、優しい。打たれ弱くて、泣き虫で、優柔不断。でも、曲げれないことは曲げない、強い心を持つ彼。  旅行好きで、歴史好きで、社会だけいつも満点で、他は全然駄目で。でも、何事にも一生懸命で。鈍感で。  周囲に鈍感なマトは気付いていないと思うが、マトは結構モテる。周りの人はマトをかっこいいと話していたけど、私にはあまり分からなかった。  私にとってマトはただの幼馴染み。強いて言うなら、弟みたいな存在。  今も昔もこの感情から変わらない。変わらないのだ。  いくらマトが私の気を引こうとしても、それが変わることはない。姉の気を引こうとするかわいい弟にしか見れない。  だから、マトとは付き合えない。こんな気持ちで付き合えるわけがない。  でも、マトを好いている人が今のこの状況を見たらどう思うのだろう。  今、私はマトの家でマトのためのご飯を作っている。
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