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 ひたりひたり。  何もかもがどうでもよかった。  何もかもが辛かった。  木に背をあずけ、低く低く体を下げながら、全身に力を抜く。  今日、何かあったというわけではない。いつも通り学校に通って、いつも通りの授業に出て、いつも通りの道を渡って、いつも通り……。  そんな日々に退屈して辛いとは思っていない。  むしろ、そういった感性を持たないことが辛い。  多分、僕の時間は止まっている。  現実は変わらず、時を刻み続けているのに、僕の心は止まったまま。そのことに気づいて、一部の心が焦るが、それがどうしようもないことに呆れ、辛く感じる。  僕はこれからどうしたらいいんだろう。  目的も意思もない。  ただ、惰性のように日々を傍観しているだけ。  それが、朝薙纏(あさなぎ まとい)の人生なのだろう。  7歳の纒は自分に向けて、そう告げた。
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