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魔術を使える纏は才能ある人間だろうと思われるが、そうではない。
魔術師は家系によって優劣がつく場合がある。
纒の考えでは、魔力とはエネルギーそのもので術式などはそれに力の方向性を示し、活用する回路である。
その術式は祝詞などの言や、動を使ったもの、札などの様々な媒体が回路としてある。そして、その媒体の最も強力なのが血だ。
魔術を使用するたびに、使った術式は自身が作り出す血へ無意識に刻んでいく。体自体が術式の回路になるため、魔術に染まった人間は本来必要な筈の媒体なくしても刻み込まれた回路のみで魔術を行える。
そのため、魔術師としての力は魔術によって培われた血。家系などが大きく左右する。
纒も魔術師の家系で生まれ、その血を受け継いだ。そのため、彼自身さほど魔術に抵抗なく使用できるようになっていた。
けれども、それだけだった。
彼は自分の魔術を昇華させることもできず、自堕落に血を落とすことしか出来ない。
魔術師の本願に違反するようなことしか出来なかった。
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