12人が本棚に入れています
本棚に追加
纒と優菜が狙っている学校は同じだ。それなりの進学校を狙っているが纒の成績はそこをギリギリ狙えるぐらいしかない。
纒はわざとギリギリの点数にしているだけだが、真面目に勉強している優菜にとっては纒がそんなことをわざとしているとは知らないため、心配してくれている。
「そういえば、昨日テレビでやってた――」
勉強の話題は避けた。わざと点数を下げていることを纒自身悪いとは思っている。
魔術師であることからあまり目立ちたくないからといった理由で平々凡々装っている纒だが、優菜に嘘はつきたくないのは本音だ。
でも、纒は優菜に魔術に関わってほしくないと思っているため、仕方ない嘘だった。
話題を変えられて不服そうな優菜も話すうちにいつもの柔かな表情に戻っていった。
話題は大したものでもないのに、優菜と話していると楽しく感じる。
やっぱり優菜のことを僕は好きなんだ。
いつも通りの日常の中で、纒は自分に言った。
最初のコメントを投稿しよう!