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授業が終わって、SHRもさっき終わった。纒は手首を伸ばして一日にたまった緊張を解す。
優菜は女の子同士で話しており、纒に入る余地はない。中学生ともなると男女間に隔たりが出来てしまう。
纒はあまり気にしないが、優菜に迷惑がかかると思うから周囲に倣っている。
「纒ぃー。帰ろうぜー」
「ちょっと待って」
いつもの声に纒は少し慌てる。声のする方向には二人の男がいた。
須原 拓也(すはら たくや)。纒とほぼ同じような身長と体格。眼鏡もかけているから、纒とほぼ被っている。纒と違うのは性格が正反対なところだ。
大人しい纒と違って、彼は活発的で何事にも積極的。纒はそんな彼に少し憧れている。
その彼の隣にいるのが加賀谷 勲男(かがや いさお)。身長は180後半とかなり高く、ガッチリとしている。
中学生の割に精悍な顔立ちをしており、スポーツも周りを寄せ付けないほど卓越している。勉強もいつも上位に入るほどの秀才で、その両面からかなりもてる。
体格に似合わず、大人しい性格で、ボランティア活動を数多くやっている。とても優しい青年だ。
二人は纒の数少ない友。二人との関わりは、纒と同じように部活に入ってないもの同士で、帰りに顔を見合わせるたびに話していると、いつの間にか仲良くなった。
彼らが部活に入らないのは、拓也はリアルに夢は持たない、などと訳のわからないことをいい、ネトゲに走っている。勲男は学校に柔道部がないことから仕方なく帰宅し、実家の柔道部屋で稽古しているらしい。
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