数さん。グルメ食べ歩きのための婚活

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仲人口は、何でもかんでも、お似合い、釣り合う、連発する。 私に当時つきまとった仲人は、学歴重視の選考をする。 察するに、これは私のおかんに対する迎合である。 おかんが学歴資格を云々し過ぎるから、仲人が、高学歴・いき遅れ寸前のキャリア・ウーマンの釣書ばかり持参することになる。 私は大学院在学中の無職であるから、会費は親が出してる事見え見えで、仲人に限らず、商売人は、銭に付いて、人に付かない。 数(かぞえ)さんは、国立名古屋大学文学部卒の英語教師である。大学院卒・専門卒に続いて、4大出ただけの大卒も、仲人口は、またしても釣り合うという。 変な所がマメで、予備校の偏差値表を入手し、名古屋大学と大阪大学は、学力的にも近いと。 大学入学後6年も経てば、偏差値なんか関係ない。てか、入試が終わったその日から偏差値なんか関係ない。 低学歴の仲人はかなわん。 数さんには、見合いの席で、開口一番に振られた。写真と実物に落差ありすぎと。 てか、本人がまだ結婚する気がないのである。 見合い荒らしというが、見合いの席の食事は男性持ちであるから、グルメ趣味の女の子にとっては、フルコースの食べ歩きがタダになれば、婚活会社に会費払っても十分にペイするのである。 これはあとで、彼女の女友達のチクリで知った。 しかし、名古屋大学と大阪大学の偏差値が近いから、釣り合う、なんてトークしかできない仲人は、仲人界の落ちこぼれではある。 大学院博士課程でも釣り合い、専門学校でも釣り合い、4大でも釣り合うという仲人なら、必要とあらば、旧制女学校卒とでも釣り合うとぬかすだろう。 ともあれ、結婚に偏差値は関係ない。学歴は多少関係するかも知れないが、決定的要因ではない。 現に、さんざん見合いしまくった挙げ句、恋愛結婚で選んだ私の伴侶の学歴は、聾学校高等部卒である。 数さんは、グルメ目当ての見合い荒らしは、年会費の期限切れで卒業し、あっけらかんと、関さんという男性と結婚したが、恋愛結婚では、「名前が関数なんて、さすが数学者の娘だとからかわれそう」と冗談めいた事を言ったらしい。 恋愛結婚とはそういうものである。 愛する関さんと一緒に暮らせるなら、名前が関数(かんすう)になったって構わないのである。 そういえば、馬場弘恵(ばば・ひろえ)さんという女性がいたな。
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