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礼子さんは、立命館大学法学部卒の家裁判事で、見合い時点で29歳、私より5歳年上である。
関西四大学、関・関・同・立の一角を占める名門とされているが、法曹界では「その他の大学」でしかない。
法曹界って、極論すれば、東大・中央・その他の大学と言って良いくらい、東大と中央が威張り散らしている。
司法試験は、毎年400~500人の合格者しか出さないのに、そのうち100人が東大、100人が中央大である。東大と中央だけで約半数なのである。
東大と中央大は、毎年合格者数一位の座を取ったり取られたりしている。
じゃあ、東大と中央は同格かと言うと、そうではなく、合格者数こそ拮抗しているが、合格「率」ということになると、東大がダントツで外の追随を許さない。中央は、分母となる学生数が大きい。
実際司法試験を通過してみると、東大がトップになる理由がわかる気がする。
司法試験委員と言う、司法試験を出題する委員がほとんど東大教授なのである。
東大生は、司法試験委員を勤める教授の講義に接している。
司法試験ともなれば、警察の昇進試験とは違い、事前に特定の者だけには問題が漏れている、なんて事はない。
だが、東大入試を勝ち抜いたぐらいの人物なら、あの教授なら、こんな問題出しそうだ、という察しはつくのである。予想問題が作れるし、この領域の出題はないと、六法全書の一部を切って捨てる試験対策も可能になる。
司法試験は、壮大なる丸暗記試験である。
知識に偏らず、法の解釈力と運用力を問う問題を出すべきだと、長年指摘されながら、長年改まらない。
さて、礼子さんは、判事をやめたがっていた。
弁護士に転じようとしていた。
立命館卒では、判事を何年続けても花は咲かない。
私と結婚すれば、お義父様は既に弁護士である。夫も多分弁護士になるだろう。
この縁談は、私の親は、父が反対、母が賛成した。
父は、弁護士が弁護士の嫁もらってどうする、離婚の時は、血で血を洗う戦いになる。頭の良いエリート貰うなら理科系貰え、理科系の血をわが一族に入れるべきだと主張した。
ま、それも一つの見識ではある。
一族にない血を入れるという発想なら、わが亀一族にもっとも欠けている血は、スポーツマンの血である。女子バレーの選手でも貰うかと、一週間は冗談で過ぎた。
私も父も迂闊だった。
不覚にも、私たち親子は、相手のお嬢さんに、断る権利があることを忘れていた。
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