おとしうたで逃げた女・麗さん

2/2
前へ
/177ページ
次へ
麗さんは女性解放運動の闘士である。 大阪に金○大学という、名前と受験番号さえ書ければ合格できる、難民救済大学がある。女子大で、学生は遊びまくっており、遊びも男漁りが主流なので、淫乱大学と陰口を叩かれている。 かわいそうだと思う。○蘭大学の女の子たちは、婚活に、ハタチの声を聞いたら、なりふり構わず突進しているに過ぎないし、自分のオツムで自分の人生を切り開く力がないことを十分に自覚しているだけである。 だが、麗さんは、女性差別と闘う闘士である。 がしかし、やはり○蘭大学である。 社会問題を系統的に把握する力がない。 女も酒タバコを嗜むことや、男に混じって猥談をすることが男女平等だと取り違えてるフシがあった。 替え歌は、私の趣味ではあるが、彼女のエロ替え歌は、まだ芸術の域に達していなかった。 文芸を嗜むには、彼女の日本語文法の知識はあやふや過ぎ、日本語の語彙が少なすぎた。 私はカラオケボックスで麗さんに「おとしうた」と言う替え歌の技法を教えた。 おとしうたとは、エッチなことを想像させる歌詞を書き連ねた上、最後の一行でひっくり返して笑わせる、ちっともエッチじゃない替え歌作りの技法である。 島倉千代子「鳳仙花(ほうせんか)」のメロディーで、どうぞ 🎶 やっぱり器用に かけられないね 不器用な男と どやされた はよせんか はよせんか はじけて飛んだ 汁だけど ヤラせてください 吉野家のバイト 大きな砲(つつ)など なくてもいいの 幸せ薄い一回戦 はよせんか はよせんか 抜き身が似合う俺だけど イカせてください 時代劇のエキストラ 🎶 私は笑わせるつもりだったのであるが、麗さんは、私の力作をセクハラと取り違えた。 あろうことか、私の側の仲人にチクった。 で、私はどんなセクハラソングを歌ったのか、仲人の取り調べを受ける羽目になった。 包み隠さず、私は「鳳仙花」の替え歌、「はよせんか」を歌った。 この仲人は、麗さんよりは国語力があり、すぐに趣旨を理解して笑い転げた。 そして、厳かに宣言した。 おもしろいが、お見合い向きではない、それになあ、ここまで高度に言葉をいじくる替え歌は難民救済大学むけではない。 以後気をつけるように。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加