第1話

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*** 「高良、これからの事は麗峰に関わることか?」 「いいえ。とは言えませんが、これから関わることは無いようにしようかと思っています。」 「じゃあ、…好き放題暴れて良いんだな。」 「いえ、危ないのでご自身の守護に徹底して下さい。あいにく私はお嬢様をお守りすることが出来ないと思いますので。」 折角、今日は高良の願いを叶えるための日なのに。 麗峰家の厄介事を引き受けるんだな。 *** 決して楽しい会話では無かったが高良と話している間に、威厳のある大きな日本家屋に着いていた。 趣のある家だが、そこにいる黒スーツの存在が、如何にも、な雰囲気を醸し出していた。 いつこんな所に、厄介事を持ち込んだのだろう。 「ここと関わりがあったのは、私が麗峰の名を背負う前か?」 「ええ。お嬢様が生まれる前でございます。生まれる前のお嬢様の元婚約者がいる所です。お嬢様がお生まれになってすぐに婚約は破棄になりましたが。」 大きな玄関に入り、長い廊下を渡り、豪華な障子を開けると、着流し姿の男が二人いた。 「どっちだ?元婚約者は」 「若い方です。」 まんまるな方か。 いや、この世界にこんなに喧嘩のできそうにない奴は初めて見た。 いや、もう、 一言で言えばいかにもオタクってかんじなんだが。 引き篭ってそうな陰湿な雰囲気を漂わせている。 隣にいる父の方が、まだ格好良くみえる。 「よくぞいらしてくれた。麗峰さん。結婚話をしに来てくれたのかな。」 「いいえ。今後一切麗峰の関わりを断ち切ろうと思いまして。」 「相手の家でよくそんな事が言えるなあ。 …………てめぇら、殺れ。」 すまないが私は逃げるぞ。 こんな所に居たくない。 「麗峰さん。逃げちゃ困るなあ。グヒヒヒヒヒ。残念だね。僕なんかに捕まって。」 見るのは我慢できても、触られたら、寒気どころじゃ無いな。 気分が悪い。 ただ、コイツがいる限り、私に黒スーツはやって来ない。 当分の間は 大人しく捕まっているフリ。 …気持ち悪い。 何でやたらとベタベタ私に触るんだ? 私にも気持ち悪いと思う事はあるのか。 いや、心ではなく、生理的に気持ち悪いと思うのか。 「やっと、手に入るねぇ。どうやって味わおうかなぁ」 ***
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