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「高良、これからの事は麗峰に関わることか?」
「いいえ。とは言えませんが、これから関わることは無いようにしようかと思っています。」
「じゃあ、…好き放題暴れて良いんだな。」
「いえ、危ないのでご自身の守護に徹底して下さい。あいにく私はお嬢様をお守りすることが出来ないと思いますので。」
折角、今日は高良の願いを叶えるための日なのに。
麗峰家の厄介事を引き受けるんだな。
***
決して楽しい会話では無かったが高良と話している間に、威厳のある大きな日本家屋に着いていた。
趣のある家だが、そこにいる黒スーツの存在が、如何にも、な雰囲気を醸し出していた。
いつこんな所に、厄介事を持ち込んだのだろう。
「ここと関わりがあったのは、私が麗峰の名を背負う前か?」
「ええ。お嬢様が生まれる前でございます。生まれる前のお嬢様の元婚約者がいる所です。お嬢様がお生まれになってすぐに婚約は破棄になりましたが。」
大きな玄関に入り、長い廊下を渡り、豪華な障子を開けると、着流し姿の男が二人いた。
「どっちだ?元婚約者は」
「若い方です。」
まんまるな方か。
いや、この世界にこんなに喧嘩のできそうにない奴は初めて見た。
いや、もう、
一言で言えばいかにもオタクってかんじなんだが。
引き篭ってそうな陰湿な雰囲気を漂わせている。
隣にいる父の方が、まだ格好良くみえる。
「よくぞいらしてくれた。麗峰さん。結婚話をしに来てくれたのかな。」
「いいえ。今後一切麗峰の関わりを断ち切ろうと思いまして。」
「相手の家でよくそんな事が言えるなあ。
…………てめぇら、殺れ。」
すまないが私は逃げるぞ。
こんな所に居たくない。
「麗峰さん。逃げちゃ困るなあ。グヒヒヒヒヒ。残念だね。僕なんかに捕まって。」
見るのは我慢できても、触られたら、寒気どころじゃ無いな。
気分が悪い。
ただ、コイツがいる限り、私に黒スーツはやって来ない。
当分の間は
大人しく捕まっているフリ。
…気持ち悪い。
何でやたらとベタベタ私に触るんだ?
私にも気持ち悪いと思う事はあるのか。
いや、心ではなく、生理的に気持ち悪いと思うのか。
「やっと、手に入るねぇ。どうやって味わおうかなぁ」
***
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