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***
「佑、準備できたか。」
「うん。じゃなくて、はい。見てください!憧れのブレザーです!本当は詰襟の所と迷ったんですけど…。嬉しいですね。制服が着れるのは!」
まさか、高校を制服で選んだんじゃないよな。
まぁ、好きに選んでくれて良かったけど。
「佑のあいさつが終わったら、用事があるから出かけてくる。悪いけど、自力で帰って来い。」
「え!来てくれるの、入学式!」
そんな嬉しそうに言われるとなんか。
今時親が学校に来るのは嫌じゃないのか。
「お嬢様は、僕の親じゃないですよ。だから、嬉しいんです。」
ああ、そうだった。
佑と同い年か。
「高良。母親は無理でも、姉くらいなら大丈夫だよな。」
「ええ、おそらく。ですが唯はどうされますか。」
「……んー、多分邪魔にはならない。連れて行こう。」
***
「……――、――――…。」
佑のあいさつが終わった。
こういう言葉は、高校の方から用意されるらしい。
それで、成績トップに読ませるらしい。
麗峰に仕えるなら、トップをキープするのが当たり前。
常に上にいなければならない。
麗峰についた以上、避けられないのだが……。
高良に抱かれた唯は、
応援でもするように、ひとつも泣かず、お兄ちゃんの話を聞いていた。
***
「高良、出かける。」
「はい、畏まりました。」
山に囲まれた、
砂浜に
海の、地平線が見える
人の居ない
現実から切り離された、
あの、場所へ。
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