第1話

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*** 「佑、準備できたか。」 「うん。じゃなくて、はい。見てください!憧れのブレザーです!本当は詰襟の所と迷ったんですけど…。嬉しいですね。制服が着れるのは!」 まさか、高校を制服で選んだんじゃないよな。 まぁ、好きに選んでくれて良かったけど。 「佑のあいさつが終わったら、用事があるから出かけてくる。悪いけど、自力で帰って来い。」 「え!来てくれるの、入学式!」 そんな嬉しそうに言われるとなんか。 今時親が学校に来るのは嫌じゃないのか。 「お嬢様は、僕の親じゃないですよ。だから、嬉しいんです。」 ああ、そうだった。 佑と同い年か。 「高良。母親は無理でも、姉くらいなら大丈夫だよな。」 「ええ、おそらく。ですが唯はどうされますか。」 「……んー、多分邪魔にはならない。連れて行こう。」 *** 「……――、――――…。」 佑のあいさつが終わった。 こういう言葉は、高校の方から用意されるらしい。 それで、成績トップに読ませるらしい。 麗峰に仕えるなら、トップをキープするのが当たり前。 常に上にいなければならない。 麗峰についた以上、避けられないのだが……。 高良に抱かれた唯は、 応援でもするように、ひとつも泣かず、お兄ちゃんの話を聞いていた。 *** 「高良、出かける。」 「はい、畏まりました。」 山に囲まれた、 砂浜に 海の、地平線が見える 人の居ない 現実から切り離された、 あの、場所へ。
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