第1話

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ようこそ。 我が主の麗峰家へ。 私は貴方を御案内致します、麗峰家執事、いえ、使用人でしょうか、高良と申します。 お連れする前に一つ、 ―貴方は人を殺めようとした事はありますか― 左様に御座いますか。 ここだけの話、私の主人は人を、正確にはご自身を殺めようとした事があるのです。 お嬢様は確かにこの世に生きていらっしゃいますが、自分で自分を捨てた身です。 心が無くなってしまったのも当然でしょう。 どうか、お嬢様のお気に障らぬよう、お気をつけ下さいませ。 *** 目の前に映るのは燃え続ける炎のみ 無駄に広い屋敷だったけれど、 崩壊寸前の家族だったけれど、 なくなってしまうと悲しいらしい。 それが、私が感じた最後の感情だった。 ―悲しみたくなければ、 感情を消せばいいー そういって、私は自分を消したのだ。 大きく燃え盛る炎を背景に、それより赤い血が流れていた。 いつしか指先が燃えていても、私はそれをただ眺めていた。 「お嬢様、お目覚めの時間でございます。」 私の手首には包帯が巻かれていたが、それ以外は外見上なんら変わりがなかった。 目覚めたベットも壁紙も装飾品も、だたそこに、そのままにあった。 変わってしまったのは私の内面か。 だが、何が変わってしまったのかわからなかった。 からっぽな感覚が何故か私に違和感を残した。 「今日から私が麗峰だ。」 半ば、反射的にこの言葉をつぶやいた。
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