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***
ここは中学校
グランドでは運動部の暑苦しい掛け声が聞こえ、吹奏楽のごちゃごちゃとした楽器の音が聞こえる。
そう授業が既に終わった放課後の校舎である。
一人私は廊下を歩いていた。
教室に入ることが目的だが、躊躇していた。
そして、教室から聞こえた声を暫く聞き踵を返し帰った。
表情をそのままに
「ああ、またか。」
私がそうつぶやいた声は、周りの喧騒にかき消された。
***
「あいつ、まだ学校来るのかなぁ。」
油性マジックを持っている子が言った。
今日も私の机は黒々と落書きがされている。
「無表情で何考えてるか分からないし、話しかけてあげても無視とか、酷いよね。」
提出物だった私のノートは切り刻まれている。
「この前、たまたま顔をあげたらあいつが睨んできて。キモいわ。」
体操服は床に落ち、靴で踏まれていた。
「…まだあんな面倒なことしてんの。」
少し離れて部活のユニフォームを着た集団がいた。
「おい、よせよ。次、自分がターゲットになったらたまったもんじゃない。」
「あいつは金持ちだから体操服なんて買い直せばいいのかもしれないけどさぁ。…そういえば、あいつの机だけ少し新しいだろ、あれな、毎回自分の分だけ新しい机を寄付してるらしい。」
「どうせなら全部新しくしてくれたら、いいのに。金持ちの癖にケチくさい。」
耳障りな笑い声がした。
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