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「(高良、そろそろだ。)」
「(承知しました。)」
―パチン
指を鳴らす音が教室に響いた。
それを合図に私達は教室の真ん中へ現れた。
「さっきから黙っていれば酷い言われようだな。」
「!なんでお前が。」
一人の男子が掴みかかった。
―パシンッ
「おやめくださいませ。お嬢様に危害を与えないで下さい。」
私のそばにいた男、高良が振り払った。
「誰だ?あの男?」
「どこからきた?」
「まさかの親?」
急に容姿端麗な男が見えたため一時騒然となった。
「私は、麗峰家に仕える高良、と申します。ちなみに、何処から北いう質問にお答えしますと、北極のある方向が常に北……」
「高良、後にしてくれ。」
「失礼致しました。」
教室を見渡した。
そして、先生を見つけると側に近寄った。
「いつも優しくしてくれていたのに、それは偽りだったのですね。先生。」
「違うわ。ごめんなさい」
「ただ忘れ物を取りにきたついでに最後に挨拶でもしようと思ったのに。」
「だから、違うの。麗峰さ、」
「正直、みんなから麗峰のせいで嫌われているのは分かっていたけど、先生は違うと思っていましたけど、…残念です。」
「違う!!あの子達が私を貶めたのよ!麗峰さんが嫌いだって言わせたの!」
「そうですか。先生は私が嫌いだったんだ。」
「違う!信じて。」
「誰が信じられる?嫌いの言葉はこの中の生徒は一度も、言ってない。それが、本心だからこそ貴方の口から発せられる。」
先生は泣き崩れた。
生徒は助ける訳でも味方する事も無く遠巻きに人事のように眺めていた。
「みっともない……。
嘘を付き更に生徒に罪を擦り付け挙句の果てに、泣き喚く。とんだ偽善者だな。」
私が教室を見渡せば生徒がビクつく。
随分とか嫌われたものだな。
まあ、良い。
「今我が国ではいじめが社会問題だ。教師がいじめに賛同するなど、生徒に罪を擦り付けるなど、当然それ相応の対応が必要だろう。」
「親の権力をつかうんだろー!」
勇気ある男子が叫んだ。
「ふん、お望みと在らば麗峰の無駄な権力を利用してやろう。」
私は先生を視界に入れると、
親指を首に当て、
「おそらくクビだな。」
そう言って指を真っ直ぐ横に動かした。
「ちなみに、私に両親はいない。」
辺りが激しい恐怖と憎しみ、そしてほんの少しの戸惑いに包まれる中、私は高良を連れてそれに臆さず教室を後にした。
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