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***
「お嬢様、本当にあの教師だけで宜しかったのですか」
「宜しい訳ないだろう。」
「ではなぜ?」
私はは無表情に呟いた。
「確かに、イラッとまでは思ったが…。義務教育である中学生を責めることはおかしい。
まだ、あんな子供を育てた親の責任だ。」
「左様に御座いますか。ですが、お嬢様、それでは腸がおさまらないのでは?」
高良が微笑いながら言った。
「ああ。ちゃんと手は打ってある。ここの学園長とは面識があるからな。」
***
「・・・・・・こんな事が私の学級であったのだが。」
私はボイスレコーダーを再生しながら訴えた。
「申し訳ありません。すぐさまその教師の辞令を言い渡します、のでどうか、潰さないで下さい。」
貫禄のある体を折り曲げて男はペコペコ頭を下げていた。
「潰さないでとは嫌な言い方だな。まあ、良い。お前お得意の悪事を揉み消すのをすればいい。あんな学級元からなかったことにしろ。」
「分かりました。これからもいえ、更に麗峰家に協力させて頂きます。」
***
「なるほど。さすがはお嬢様です。涙まで流しながらの迫真の演技も素晴らしかったです。」
「目薬でも騙せるのだな。それより、今日の夕食はなんだ?」
「お嬢様のお好きなカルボナーラで御座いますよ。」
それを聞いた私の顔が少し綻んだのかも知れない。
「分かってるじゃないか。さすが高良だな。」
「身に余る嬉しきお言葉、ありがとうございます。」
高良が笑いながらそう答えたから。
***
あれから数日。
「お嬢様こんな記事が
『有名私立学園、同じ学級から転校するもの相次ぐ。その学級の担任は自主退職。この学園に何があったのか!』
少しマイナーではありますが、週刊誌に掲載されていました。」
はあ。と溜息をつくと、
「あの狸爺ももう少し上手くやれば良いのに。」
「そうですね。」
高良は可笑しそうに答えた。
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