壱滴

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しとねに馨る 金木犀の華 純白の肉塊から伸びるか細い遊具は 私の総てを知り尽くし 味わい尽くす 骨の髄まで砕かれた身体に迸る淫の気を 無数の細やかな突起が絡みつき 逃すものかと責め立てる 彼の人の消え入る程に目映い琥珀色の両脚が 私自身を捕らえれば 既に幾度となく果てた頂を 火照った指先が赤子の頭を撫でるように 優しく 愛でた 最早衣擦れの音にさえ 私自身は固く仰け反り 歓喜の色を噴射する 彼の人は其の度に 薄く蒸れた唇に弧を描きながら 淫らな吐息と共に乾いた心を晒すのだ 可愛い人 此の身の全ては 貴方のもの だのに何故―― 憂いに満ちた言の葉は 耳元を滑り 私の胸の内を抉らんばかりの牙と化し 甘噛みの跡に滲む血の色さえも嘲笑う
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