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電車が4つ目の駅に着いて、駅の明かりが車内まで入って来る。
ガラスの向こうのあたしは、歪んだまま明かりの中に消えていった。
斜め向かいの彼が、はっと目を開け慌てて窓の外を見て、そこが目的地でない事を確認してほっと安心した表情を浮かべる。
あたしはそれを見てこっそりクスッと笑い、耳からイヤホンを抜いて音楽プレーヤーごと制服の右ポケットに突っ込み、立ち上がる。
さよなら。
また明日の朝、会えるといいな。
ちょっぴり後ろ髪を引かれる思いをこらえて、電車のドアへと歩き出す。
「落としたよ!」
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