片道17分の恋

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 プシューという独特な音がして、電車のドアが開く。  いつもなら、誰か知り合いでも乗ってこないか気にするけど、疲れきっていたあたしは、座ったままうつむいて、耳にはイヤホン。すぐに寝れる体勢を取っていた。  今入ってきた乗客が、あたしの方に近付いてきているのは気配と足音で何となく分かった。  下を向く私の視界に入って来た両足を見て、あたしははっと顔を上げる。  あ、彼だ……。
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