片道17分の恋

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 ゆっくり電車が動き出す。  もう一度顔を上げると、彼ももう、うつむいて眠たげにしていた。  少し茶けた、まっすぐな髪。長めの前髪が目に掛って、よく邪魔そうに手で払ってたっけ。  それからすっとした鼻筋。細い顎。  なんでこんなに綺麗な顔をしてるんだろう……。  彼の頭の向こうには、真黒な窓。  時々建物や木なんかがすごい速さで横切って行くのが、ぼんやり見える。  ふと、自分の正面に目線を移す。
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