片道17分の恋

7/15
前へ
/341ページ
次へ
 あ、あたしだ。  窓が鏡みたいになって、電車の中を映している。  当然、あたしの目の前には、少しだけ透明になったあたしが、窓の表面に浮かびあがっていた。  眠ってしまって船を漕ぎ始めた彼の隣りに、影のあたし。  ……馬鹿みたい。  あたしは心の中でほんのちょっと笑った。  それは一瞬でも、彼の隣りにいる未来を考えたから。
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加