真夜中のクルックポー

2/40
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
満天の星が夜空に輝いていた。 寄せては返す波の音。 闇の中にぼんやりと浮かぶ上弦の月。 私は1人、夜の海に来ていた。 潮の香りを感じる。 砂浜の西側ずっと先の方には海に向かって防波堤が伸びている。   私は道路から浜辺と続く階段を降り、階段の手すりに寄りかかりながら、夜空と海を交互に眺めていた。   ふと思い立って旅に出た。 職場と辞めて3ヶ月、新しい就職の目処もなく、日々だらだらと部屋の中に引き篭もっていた。 何もやる気がなく、人に会う気もなくて、ぼんやりと見ていたテレビから海の映像が飛び込んで来た。   そういえば、最後に海に行ったのはいつだったろう?・・・行ってみようかな・・・そう思った私は早速、旅に出る準備を始めた。   時間はいくらでもあったから、鈍行列車に乗り込んで、外の景色を眺めながら気ままな一人旅は始まった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!