真夜中のクルックポー

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目的地は海とだけ決めて、なるべく私を知る人がいない遠くに行きたかった。   この場所に降り立ったのは今日の夕方のことだった。   駅前の商店街らしき通りは閑散としていて、もの寂しかった。 すれ違う人も少ない。 トランクを持っている旅人らしき私の姿を訝しげに眺めるお婆さんがいるたばこ屋の前を通り過ぎて、廃れたビジネスホテルにチェックインした。 街を散策しながら商店街の中にある食堂で夕飯を済ませ、波の音に引き寄せられるように、夜の海にやって来た。   誰もいない海の前に1人佇み、星空を見上げる。   真上を見上げるとWの形に繋がる星を見つけた。確かあれはカシオペア座。   ほぅと息を吐くと白い靄が冷たい夜の空に消えて行った。 何か温かい飲み物が欲しくなり、着ていたジャケットのポケットに両手を突っ込む。 確か、道路を渡った所に自動販売機があった。
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