2人きりの夜

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2軒目でようやくいつものダイニングバーに辿り着いた。 食事中にワインを1本2人で空けたから、そこそこいい気分。 窓際の席につくなり課長はジャケットを脱いでネクタイを緩めた。 喉仏が……ついじっと見てしまう。 「なんだ?」 「いえ、別に」 喉仏に見惚れてましたなんて言えない。 ネクタイを緩める人差し指になりたいなんてとても……。 ちょっと今日の私は変かもしれない。 完全に上司のスイッチを切った課長がお酒を注文してくれて、改めて乾杯。 ここに来るとやっぱりホッとする。 「今日は悪かったな。カキ食べ損なって」 「……は? 知ってたんですか?」 「かわりに一緒にどうかと言われたんだが、断ったんだ。お陰で楽しい酒が飲めているわけだが」 カキを目の前に向かい合って座る課長と木戸先生を想像したらちょっと笑える。 .
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