2人きりの夜

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   * * * * * * * * * * * 「う~ん」 柔らかい枕の感触に嬉しくなって、思わずゆっくりと寝返りを打つ。 夢の中にでもいるような、軽くて柔らかい布団に包まれて幸せいっぱい。 「美鈴」 誰かが私の名前を呼んでいる気がする。 だけど上手くまぶたが上がらない。 「美鈴」 髪をすく優しくて大きな手がくすぐったい。 「ふふっ」 「美鈴、キスしてもいいか?」 たぶんこの声はあの人。 なんていい夢なんだろう。 「ふふふっ」 シャワーでも浴びてきたのか、頬に水滴が落ちシャンプーのいい香りがする。 ぼんやりしたシルエットに向かって両手を差し出すと、くすっと笑った声が聞こえてゆっくりと抱きしめられた。 触れる唇はとても優しくて、温かくて、心が満たされる。 離れていくのを名残惜しく追いかけたけど、戻って来てくれはしなかった。 「ごめん……」 .
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