2人きりの夜

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久しぶりに早く会社から出られたお陰で、延び延びになっていた念願のネイルサロンに立ち寄ることが出来た。 急な予約に対応して貰えて本当に気分がいい。 綺麗になったネイルを眺めていると、ふとさっきのことを思い出す。 今思えば会社を出るとき、ちょっと課長に冷たい態度を取りすぎたかな。 「いや、そんなことない」 騙したのは課長だし、淡いピンクのネイルに気分がよくなったので、やっぱり忘れることにした。 会社からそれほど離れていないサロンを出て、ウキウキと駅に向かって歩く。 「ちょっと寄り道しようかな」 気分がいいついでになんとなくいつものカフェに立ち寄った。 だけどカフェラテを片手に窓際の席に座りかけて、後悔と共に一瞬で体が固まった。 ガラス越しの歩道を楽しそうに話しながら通り過ぎる男女。 すらっと背が高くて、少し栗色がかった髪に手入れされた髭。 その横にサラサラなロングヘアーをなびかせて、華奢なヒールで歩く女性。 こちらには全く気がついていない。 .
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