2人きりの夜

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元気なときでさえ口説かれたこともないのに、熱を出しているときになんてありえない。 「ぐっすり寝かせてもらいました。良い夢も見たし、もうすっかり元気になったわ」 本当に最近にしてはビックリするくらいよく眠れた。 「夢? どんな?」 「それは……」 「ここまで話して今更内緒はないでしょ」 たかが夢だから話してもいいかな。 現実なら内緒だけど。 「課長に抱きしめられて、キスされる夢」 「課長に?」 「うん」 姿は見えなかったけど、私の名前を呼んだあの声はたしかに課長だった。 「課長のベッドで課長の夢。それって本当に夢? 案外現実だったりして」 想像力が豊な弥生には驚く。 それが本当ならちょっと嬉しいけど、夢は夢。 .
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