2人きりの夜

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いつもみたいに飲みに行くつもりが、課長が入っていったのはお洒落なレストラン。 「空腹で飲んで悪酔いされたら困るからな」 笑って言ってるけど、それって私が酔って絡むって言ってるようなものじゃないですか。 ていうか1度も絡んだことなんてありませんけど。 「それ、失礼です」 ちょっと気分がもやもやしているけど、課長に絡むほど飲んだりしないつもりなのに。 どちらかと言うと酔っ払うのは課長のほうで、私は介抱することが多いのに。 そして例の『もう2度と結婚なんてしない……』ってお約束のセリフを拝聴する。 それが憧れから一歩踏み出せない理由のひとつでもある。 踏み出す勇気があるかどうかもわからないけど。 だから別に小沢先生に失恋したわけじゃないんだから。 私が憧れているのは今目の前にいる荒木課長。 小沢先生はちょっと気になるだけ。 小沢先生があんなことするからちょっと気になるだけ。 夕日に照らされてちょっとドキッとしただけ。 ただそれだけ。 .
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