2人きりの夜

8/35
前へ
/35ページ
次へ
「そうか……」 興味がないのか、言えないと悟ったのか、そこでこの話は終了。 もうちょっと突っ込んで聞いてくれてもいいじゃない、って思うのは私の勝手な思いで。 課長が私にそれほど興味を持ってるわけないか。 弥生がいつも課長が私に気があるみたいなことを言うから、ちょっと期待しちゃった。 「この時間までこの辺りにいたってことは、また歯が痛み出したのか」 「違います。今日はネイルサロンに行ってきたんです」 チラリと淡いピンクのネイルを見せた。 少し大きめのストーンを一粒乗せただけでぐっと華やかになった。 思った以上に上品に仕上がってとても気に入っている。 しかも私は親知らずを抜いただけで、虫歯があったわけじゃない。 ただ内容は的外れだけど、小沢先生に行き当たるとは凄い洞察力。 「女性は大変だな、指先まで気を使うなんて」 「そうですか? 気分転換にもなりますから楽しいんですよ」 さすがに社会人として常識のある範囲でしか出来ないけど、月に1度の自分へのご褒美。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

639人が本棚に入れています
本棚に追加