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ふわふわとした風に揺れながら、階段を下りていく。
階段から身を乗り出して下を見れば、緊張してカチコチになった少年や少女が歩いている。
こういうのみてると思いっきり冷やかしたくなるんだよねー。「せいぜい楽しく過ごせよー」とかっていってみたくなる。
私、桜坂マゼンダ。この学校じゃあ忘れ去られた生徒って所かな。
私以外にも忘れ去られている生徒は、私を含めて十人いる。
別に私たちも忘れてもらいたくて忘れられているわけじゃないんだけどさー。
でもね、それはしょうがない事なのかも知れない。
それでも、私たちは忘れ去られてしまったことを後悔はしていないのである。
あんな箱庭にとらわれているようじゃ、私たちは生きていけないからね。
学校へと通じる階段を下り、私は本棟ではなく、特別棟のほうに足を運ぶ。
やれやれ、さすが入学式というべきか。特別棟を歩いている生徒が一人もいない。
まあ、そっちのほうが私たちにとっては都合が良いのだけれど。
私は、気分に合わせて歌を鼻歌で歌ってみる。
……せっかく気分が良かったというのに、誰かが私に体当たり食らわしたせいで廊下と挨拶するはめになった。
「マゼンダおっはよー!さっき歌ってた歌ってさ、『愛溢れ』だったりする?私もその歌すきー!」
「……ミドリ、私に体当たり食らわすなよ!お前のほうが重いんだからよ!」
「……マゼンダ、それは私に対する侮辱か?私にデブといいたいのか?私に対する挑戦状かぁぁぁ?!」
ぎりぎり……という効果音がとてもふさわしい状況。
締め上げんなや、そんな力いっぱい締め上げたら内臓出ちゃうから。
「……お前の……給食……抜くぞ……?」
「ちょ!私が何か食べないと死んじゃうの知ってていってるよね、それ!私一食でも抜かすとしんじゃうよぉぉぉ!」
「じゃあ……その手どうにかしろやぁ……」
ミドリがいきなり離したから、私はまた地面と挨拶するはめになる。
うう……二回も同じところぶつけたからやっぱり腫れちゃってるかもなぁ……どうしよう。
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