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「二人とも朝から元気がいいですね。おはようございます」
にっこりと笑い、私たちの後ろから一人、現れる。
彼は『奏琴 ルファ』一言で説明してしまえばナルシスト。
彼もまた、私と同じように忘れられてしまった。
否、あそこへ向かおうとしている者はみな、此処から忘れ去られてしまった人たちである。
ルファは、美しい白い肌とは反対に、真っ赤に輝く椿の花を持っていた。
彼の大好きな花なのだ。正確に言えば、椿の花言葉がすきなのだ。
椿の花言葉……『申し分ない魅力』。まさにルファにぴったりである。
「ルファか。元気じゃないぞ。俺が一人で元気なだけだ」
「そのとおりだね。私はその巻き添え食らっておでこ腫れちゃったし」
「おやおや。クロウ君が何とかしてくれるんじゃありませんかね。彼は何かと貴女に世話を妬きたがるから」
「……ソウデスネ」
それでも、私はクロウが嫌いではない。
むしろ好きなほうにはいると思う。
人は、恋をして大人になっていくのさ……
そんなこと話しながら、図書館のほうへと向かっていく。
私たちの2-3は、図書室の中……奥深く。
本当に見つかりにくいところにあるのだ。
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