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ある日の朝、俺は勇者を探しているという王様がこの街クラディールに来ていると聞き、俺はアデルの家へ向かった。
現在午前6時半、勇者を探すのは8時からだが、アデルは寝起きが悪い。いつ起きるかわからないので、俺はアデルを早めに起こしに行く途中だ。
アデルの家は俺の家から3キロ程離れている。トレーニングは毎日欠かさずしているが、歩いていくと45分程掛かるので走っていたのだが、寝不足のせいか、少し気持ち悪くなり歩いている。
アデルの家に着いたのは7時だった。
―まぁ1時間あるから大丈夫だろう。―
そう思いドアをたたいた。
「はぁい、ちょっとまっててねぇ」
ドアの向こう(アデル宅)からゆっくりとした甘ったるい女性の声がした。と、言っても俺はその声がアデルの姉の声だと知っている。
「あぁエル君。おはよ」
「おはようございますピノさん。」
「まぁ中に入っいて。アデル起こしてくるからぁ」
ピノさんは階段を上っていった。
「ふぅ……」
俺はため息をついた。実は俺はピノさんのことが苦手だ。いや、別に話すのが嫌だとかではない。むしろ話すのは楽しい。綺麗だし、可愛いし、胸も大き……じゃなくて、なぜ苦手かというと、喋るスピードがものすごく遅い。1分間に120文字は喋れていないのではないかと思う程遅い。だから眠くなってしまう。
「アデルおはよー」
自分の世界に入っているうちにアデルが起きてきた。
ー今日はやけに早いなー
アデルの頭は寝癖だらけでまだ眠そうだ。
「おう。おはよ。まだ7時15分だけどどうする?」
「ご飯を食べてから考える。」
そう言うと、机のバスケットに入っていたパンを口の中に入れる。
「こぉら、椅子に座ってから食べなさい。」
そう言われ、アデルはしぶしぶ椅子に座る。アデルが近くにいるから分かったが、耳に歯形が付いている。
―あぁ、アデルはピノさんに耳を噛まれて起きたんだ。ピノさん………もっとほかに方法は
無かったのかよ。ー
「よし、食い終ったぞ。」
気付かない内にアデルはパンを食べ終えていた。
「で、どうする?まだ30分あるけど……」
「寝る……のは無し?」
「勿論無し。」
アデルが寝ようとするので、
「じゃあ、クラディール城に下見に行こう。」
「はーい」
俺とアデルはクラディールへと向かった。
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