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「あ…すみません。
では私もコーヒーを」
黙ったまま頷いて
スッと手を上げウエイターを
呼ぶ朝日奈さんの仕草は
本当にスマートで、
けれど眼鏡越しに光るのは
何度見ても遥斗と同じ
色素の薄い瞳。
その瞳に今にも吸い込まれそうな
そんな感覚を感じながらも
必死に心に言い聞かせる。
目の前にいる人は、遥斗じゃない。
そしてこの人は、もしかしたら
私を罠に嵌めようと
しているかも知れないんだ。
メニューを閉じて
ウェイターにコーヒーひとつと
注文している朝日奈さんの横顔に
近づく罠の気配を感じていた…。
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