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私の言葉をじっと黙って
聞いていた遥斗は
ふうっと大きく息をつく。
けれど何も言葉が出て来ないのは
そんな事を怒ってるんじゃなくて
たぶん遥斗は朝日奈さんと
再会する覚悟をするために
必死なんだと思う。
相変らず不安そうに揺れる
色素の薄い瞳に私は静かに頷いて
彼の手を握りしめた。
「だけど私は…
ずっと遥斗の傍にいるから。
だからもう怖がらないで。
朝日奈さんは…
あなたから私を
奪ったりなんかしないし
…私は最期に…
必ずあなたの名を呼ぶから」
「…香織…」
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