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「前島香織ってプランナーの
最後の作品が愛する男の
分身の再スタート地点なんて
なんかドラマチックじゃない?
うん、いいね。
これでまた1曲作れそう」
そう言って笑いながら
車から降りて行く朝日奈さんに
私は苦笑いしながら
車から降りた。
…が、
すっかり足が震えていて
ヘナヘナとその場に
座り込んでしまった私に
朝日奈さんは楽しそうに
笑いながら聞いて来る。
「大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないです」
差し出された手に
しがみついてやっと立ち上がる。
遥斗とは少し違うけど…
朝日奈さんの手の温もりが
私の揺れていた心を
包み込んでくれたような…
そんな気がした。
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