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瞳を揺らしていた俺に
小野さんは静かに語りかけた。
「彼女な…
もう誰も苦しめたくないから
今すぐ仕事を辞めて
お前のそばに行くって
言ってたぞ。
だから俺は辞めさせない、
退職願は受理しない、
そう言って断った。
それで良かったんだよな?」
「…はい」
俺の返事に小さく頷くと
ポンと肩を叩いて
小野さんは微笑む。
だけど、
どんな思いを抱えて
小野さんが香港に来たのか…
まだこの時の俺には
解っていなかった…。
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