最後の言葉

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「冬木支店長と沙織も… 歩み出せたからだと思います」 「さすがに俺には解らないな」 静かに首を振りながら 笑った小野さんだったけれど 俺には冬木支店長の思いが 痛いくらい解っていた。 今、沙織と俺を会せるのは 俺自身がこの香港を捨てて 香織の元に帰る決心を 揺るぎないものにさせる為だと。 デザイン部長の辞令を受ける時に 俺は冬木支店長にそれを 伝えていた。 「2年後に、この会社を 辞めようと思っています。 それでもこの辞令を受けて よろしいでしょうか」
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