帰る場所

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「でもっ…」 あの日の朝日奈さんの 辛そうな表情を思い出したら 自然と涙が溢れ出す。 頬に伝った涙の雫を 彼は指でそっとなぞりながら 優しく言葉をくれた。 「恭一、言ってなかった? 俺と恭一は鏡像だって。 だからアイツがどんな思いで 香織を見ているのか… 俺には痛いくらい解るから。 香織はそのままで いてくれたらいい。 きっと恭一は理解してくれるよ」 彼の言葉は、すっと私の心に 染み込んで来る。 私には解らない彼と 朝日奈さんの絆は 何年も離れて暮らしていても やっぱり深く繋がり合って いたのかも知れない。 それはやっぱり…家族だから。
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