過去と未来

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「冬木支店長が、 冬木拓馬でいれたのは 香織のおかげだったって。 それ言われた時にさ… 彼女は、ずっとズルい女だと 俺は思って来たけど…。 冬木沙織って人は 自分に正直に生きてるだけで、 嘘をつけない人だったのかなって。 彼女の生き方が正しいと思うか 自分勝手と思うか… それは人それぞれ違うだろうけど。 俺も自分に正直になって 香織と向き合おうと 思えたのは確かなんだ。 辛い恋をして来たから 今の俺があって それを乗り越えたから こうして香織と向き合えるように なれたのも事実だし。 昔の恋人の事を こんな風に話せる日が 来るなんて自分でも 思わなかったけど… 香織だけには 嘘をつきたくない。 それが今の俺の正直な気持ち」 「遥斗…」 「それともうひとつ…。 冬木支店長の器の大きさには 俺も完敗したよ。 さすが、香織が7年間も 愛し続けた男だって… そう思った」 彼の言葉に、一気に胸が 苦しくなった。
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