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「だけどね…
一度だけ遥斗が付き合ってた子を
略奪した事がある」
「はっ？」
「大学の時にね、
遥斗が付き合ってた子が
俺もすごく好きになっちゃって…
それでも遥斗は俺を一言も責めずに
身を引いてくれちゃってさ…
だけど、その略奪した子、
顔は同じでもやっぱり遥斗君がいいなんて
言って俺から離れちゃった。
その時からね、俺は結局
遥斗には勝てないんだなって
そう思うようになったんだ。
遥斗は俺に勝てないって
ずっと思って来たみたいだけど
本当に勝てなかったのは俺。
だって前島さんだって
俺より遥斗でしょ？」
「…はい」
「同じ顔、同じような性格、
同じような生き方をして来てもさ
やっぱり遥斗の方が俺より
ずっと愛情深い男なんだと思う。
だから前島さん…
遥斗の愛情をしっかり
受け止めてあげて。
いつも身を引いて来た遥斗が
絶対に譲らないって言ったの
前島さんが初めてだから」
優しく微笑んで言われた言葉に
胸がきゅっと苦しくなった。
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