帰郷

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手湯で温まったおかげで 心までが温かくなって。 再び香織と手を繋いで 歩みを進める。 少し先に見えて来た 白壁の温泉旅館を指差して 香織が微笑んだ。 「あそこがうちの旅館。 たぶんフロントに 兄の康平がいるから」 せっかく手湯で和んだ気持ちが また緊張し始める。 「母屋は旅館の裏だから まずは部屋に荷物を置いて それから両親に会いに行こうね」 余裕の笑みの香織に 若干悔しさを感じつつ。 入口の引き戸を開ける 香織の後ろで俺は小さく 深呼吸した。
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