魔法のひととき

プロローグ

ある乙女ゲームが人気を博した。

“魔法のひととき～永遠は貴女が決める～”

なんともまぁ、つまらなさそうなタイトルではあったが中身は一転して違った。

高画質なグラフィティによって細かに表現されたアナスタシア王国という世界観。
ファンタジーな世界観に登場する数々のキャラクターたち。

最終的に攻略できるようになる対象は隠しキャラも合わせて二十五人以上、しかも各ストーリーにbad,true,friend……三種のエンディングが用意されていた。

更に主人公の選択肢の自由さもさることながら、自分の好みの相手が必ず見つかるという点で人気を呼んだ。

獣耳、ヤンデレ、クーデレ、ツンデレ、ショタからオジサマまで種類は豊富であった。

世の女性の多くはそのゲームをプレイするひとときに魅せられていったのである。