壱ノ章

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訳が分からない、何がどうしてこうなってしまったのだろうか。どうすればこんな事態に陥ってしまうのだろうか。 水に浸されロクに回らない頭を必死に動かす。 (もう、ホント訳分かんない……) そこでぐらりと意識は大きく揺れる。不規則な形で歪んでいた藍色の世界が遠退いて行く。 このままだと本当に死んでしまう、なのに打開策が全く見出せない。 どんなに足掻いても、この先待ち受けているものは絶望でしか無い。 だが、何もしないよりはマシだと思った飛和は、水面がどの位の高さにあるのか判らない状態で、真上に手を伸ばした。 ……全然届いていない。 視界を覆う暗闇がどんどん広がって行く。観念した飛和は真上に伸ばした自分の白い手を見上げて、そっと目を閉じた──────。
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