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「どうしちゃったのっ? 大哉君が俺って!! 全然、らしくないじゃんっ」
「…やめたんだよ」
「やめた?? やめたって何を??」
胸にぐりぐりと額を押し付けて、小さな子どもが甘えるような仕草を見せる飛鳥に、心が急いた。
「……お利口さん」
「え?」
飛鳥はパチパチと瞬きをしながら、俺を見上げた。
「奏多に言われたの。
いい加減、お利口さんの振りをやめろって」
「大哉君って、お利口さんだったんだ」
「らしいよ」
「んー、よくわかんないけど。でも、大哉君が、俺って言うの、何か変なの」
「そうか?」
「うん、慣れないからかな」
口角に押し上げられて、ほんのり赤くなった頬が丸みを帯びた。
無邪気なその様子に、―― 力が抜けた。
「ばーか」
「何で馬鹿とか言われなきゃなんないのよっ」
「……明日、学校まで迎えに行くから」
「ほんとに? やったあっ」
込み上げてくる愛しさに、思わず目を細めた。
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